2018/12/03
後継社長がつくる新たな人事制度
事業承継は、後継社長に社長を交代して完了ではない。
社長交代したその日から、様々な経営課題が後継社長に降りかかってくることを数多く目にしてきた。
その一つが人事制度である。
人事制度と一口にいっても、人事フローの面で見ると、採用から配置、退職のほかに、評価・報酬・能力開発といった切り口がある。
そのなかでも、後継社長がはじめに直面する悩みが「評価」と「報酬」である。
中小企業の場合、従業員の評価やそれに合わせた昇給、賞与額などは、社長が一人で決めている場合が意外に多い。
しかも、先代社長の代では、この「社長の一声」が不思議なほどの説得力があったのだ。
例えばこんな具合に・・・
先代社長:「おう! ○○君、君は今年、しっかりと頑張ってくれたから、ボーナスははずむよ!」とか、
「やあ! △△君、君も来年には課長に昇格してもらおうかと思うから、今まで以上にがんばってくれよ! 期待しとるぞ!」
などなど・・・
繰り返し言うが、妙な説得力がある。
しかし、これが後継社長になると、そう簡単にはいかないのが非常に悩ましいところだ。
しかも40歳代の後継社長が、年長者や勤務経験年数も長いベテラン社員の処遇を評価し、その報酬額を決めるとなると・・・ やっぱりややこしい。
説得力や納得性の面で、どうしても先代より薄くなってしまう。
これに新規採用が絡むと更にややこしい事態が起こる。
この人不足の時代に、新規採用をしようとしたら、給料などにおいて相応の好条件を求人などで提示しなければ、面接にすら来てくれないご時世なのだ。
そこで、後継社長は採用のために初任給を高めに設定し、求人をかけようとするのだが・・・
新規採用の条件が、既存若手社員の処遇を超えてしまう事態に直面するケースが少なくない。
既存社員よりも新入社員の方が好条件になってしまう、ということは通常有り得ない。
すると、新入社員を好条件で採用しようとしたとき、全社員の処遇を嵩上げせざるを得ない状況に直面するのだ。
さあ、どうするか・・・
ここで後継社長が望むものは、公平性、透明性、納得性を備え、従業員が満足してくれる人事制度なのだ。
そして、頑張った社員がより報われる人事制度にしたいと思う。
できれば、有給休暇や連続休暇も取れるようにしたいと願う。
人が人を評価するのは難しい。
それは、後継社長が従業員を評価することも同様である。
できれば、「人が人を評価する」のではなく、「人事制度に評価させる」体制にしたいと多くの後継社長が望むものだ。
しかも、大企業のように複雑な人事制度ではなく、中小企業としての身の丈に合った、複雑過ぎず、従業員から見てもわかりやすい人事制度が望ましい。
経営者にとって、人に関する悩みはどこまでいっても尽きない、と言われる。
それでも、一つずつ経営の仕組みを整えることで、その悩みから少しずつ解放されていくものだ。
そして、悩みから解放された前向きな頭脳で、会社の成長につながる将来戦略を考えていきたいものである。
こうした「後継社長がつくる人事制度」は、当社の独自プログラムである「経営リファイン承継」の一内容として関与先企業様に取り組んで頂いている。
経営リファイン承継プログラム
↓
https://sahara-keiei.jp/businesssuccession/succession04.php