2018/11/25
後継社長のリーダーシップを支える経営方針書
後継者が新社長に就任すると、いろいろな不安がつきまとう。
その大きなものが、「新社長である自分の方針や指示に従業員たちが従ってくれるか?」というものだ。
俗な言葉で言えば、後継者のリーダーシップである。
もう10年以上に佐原が関与した企業であるが、父である先代社長が急逝し、その息子が急遽会社を継ぐことになった。
従業員数40名程、業況は連続赤字の債務超過企業である。
後継社長として就任して半月ほど経ったある日、今後の会社の経営をどのように進めていくのか、心配になって訪問した。
新任後継社長の一言目はこうだった。
「佐原さん、社員たちにボーナスを出そうと思うんですが、どんなもんでしょうか?」
繰り返すが、連続赤字の債務超過企業である。
賞与の財源などは無く、借入返済の資金がなんとか、という状況であった。
ここ数年も賞与は支払っていない会社であった。
この後継社長の言動の下にある心理が冒頭に書いた、
「新社長である自分の方針や指示に従業員たちが従ってくれるか?・・・」
というものであったと思う。
勿論、父である先代社長を突然に亡くし、家族としても会社経営としても非常事態であっただろう。その気持ちもわかるのだ。
そのとき私は、「賞与を支払いたい本当の目的は何か?」と新社長に問いかけた。
そして、「賞与を支払っても、従業員たちにとって、それは一時の喜びであり、次からはそれが当たり前という意識になってしまう。」ことや、「自分が会社のリーダーとして組織を引っ張りたいのであれば、他の方法もある。」ことなどをお伝えした。
当時は後継社長も焦っていた様子なので、対処療法的な施策に走ったのであるが、時間が有る程度あるのであれば、「後継者による経営方針書の作成」をお勧めしたい。
これは、後継社長として今後、会社をどのように発展させていきたいのか、その方向を示す書でもある。
その内容は、経営理念や行動指針に始まり、現状の課題やその対応策、今年の取り組み方針、行動計画、会議体とその内容、などに及ぶ。
そして、その経営方針書を社員全員に発表し、組織に浸透させていくことが効果的だ。
後継社長にとっても、自分が頭を捻って考えた経営方針を紙にまとめることで、考えがより明確になる。
しかも、それは口で言うのと違って、従業員達にも目に見える形で示しやすいし手元に残る。
会議には、その経営方針書を持参させ、そこに書いてある方向に組織を向けていく。
後継社長自身としても、考えや言うことがその場その時でブレることなく、同じことを言い続けられる。
そして、示した経営方針書は、後継社長の覚悟の現れであり、従業員に対する約束でもある。
示したからには、やらないわけにはいかないのだ。
したがって、経営方針書とは、「その方向に向けて従業員を進ませる。」ものではなく、
「示したからには、やらないわけにはいかない、後継者自身の決意表明」なのだ。
こうした「経営方針書の作成と徹底」は、当社の独自プログラムである「経営リファイン承継」の一内容として関与先企業様に取り組んで頂いている。
経営リファイン承継プログラム
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