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2016/05/17
成功・失敗事例から考える!円滑な事業引継ぎメソッド②

「親族内承継における問題点(失敗ケース)」

 「廃業」を予定している企業(以下、廃業予定企業)は、承継が決定している企業、承継の判断をしていない企業に比べると、規模が小さく、業績が振るわない企業が多い傾向にあります。さらに廃業予定企業の7割が個人事業者であり、小売・飲食・宿泊業が相対的に高い。また、親族内の承継が必ずしもうまくいくわけではなく、①収入が雇用者の収入を下回っている、②企業経営が高度化し能力が不足しているなどの理由から、承継しないケースも多くなっています。

そこで今回は、これらのような承継における「失敗事例」とその対策についてご紹介いたします。

 ある家具小売店の事例です。68歳になる社長と奥様、その息子(38)の3人で経営していたお店でした。取扱商品の単価が2万円から200万円程あり利益率が高かったことや、地域のお客様から支持されていたため、商売繁盛の時期が長く続いていました。一昔前は、嫁入り道具として桐タンスをはじめとした家具類を何百万円と買っていくお客様で賑わっていたそうです。しかし時代とともに、住宅事情も慣習も変わりました。新しい住宅には備え付け家具が充実し、タンスや収納家具の必要性を減らしました。また、嫁入り道具として多くの家具を嫁ぎ先に持ち込む慣習も薄らいでしまいました。

 お店を手伝っていた社長の息子さんは、若い感性で時代の風向きが変わったことを感じ取っていました。息子さんは父である社長に繰り返し訴えました。「大きくて高額の家具ばかりを店舗に並べるのではなく、インテリア雑貨などの単価は低くても時代のニーズに合った品揃えにしよう。」と。しかし、社長はこう言いました。「俺は今まで何十万、何百万円の商品を売ってきたんだ。いまさら数万円台の品物なんか売ってられるか!」

 過去の成功体験とプライドが環境変化への対応を遅らせ、いつしか経営不振に陥っていました。赤字による資金不足から負債も次第に増えていきましたが、社長は自社の決算内容に関心が薄く、金融機関との調整は奥さん任せでした。借入金が増えることは、高額商品を品揃えするために必要な運転資金なのだと思い込み、赤字経営の原因を追究して改善しようという姿勢には至らなかったようです。決算書を後継者である息子に見せて、一緒に経営改善策の検討をすることもしませんでした。なぜなら、借入金の多さに息子がびっくりし、外へ出て行ってしまうことを恐れていたからです。

 ある日、社長は自分の健康診断の結果を見て驚きました。末期ガンでした。社長は半年内に廃業する決断をし、息子さんも会社を去りました。残ったのは借金の山でした。結局、担保に入っていた自宅と店舗の土地建物を売却し、個人保証を負っていた社長と奥様は自己破産をしました。

 もし時間を巻き戻せたとしたら、どういった対処ができたでしょうか。まず赤字に陥りそうなタイミングで後継者とじっくりと対策を話し合うべきだったと思います。それも決算内容をもとに問題点と対策を検討すべきでした。それが後継者教育の一環にもなりますし、危機意識を共有する取り組みにもなります。

 次に、後継者に経営改善策を考えさせ、ある程度実行させてみることです。赤字体質の初期段階であれば時間的な余裕もありますし、顧客ニーズに沿ったインテリア商品中心の店舗に段階的に遷移できた可能性もあります。

 経営改善が先か、それとも承継が先か、という議論もありますが、いずれにしても事業承継を視野に入れ、後継者とのコミュニケーションを密に取ることで、後継者の考えや新しい経営スタンスを取り入れた柔軟な経営にもつながるのではないでしょうか。

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