2019/08/26
後継者が学ぶべきこと
事業承継支援に関わっている立場から、後継者が社長に就任するタイミングに立ち会うことが多い。
事業承継のタイミングといってもその段階ごとに、①「後継者として会社に入社する前」、②「会社に入ったとき」、③「社長交代前3年」、④「社長交代時」、⑤「社長交代後から5年内」、⑥「交代後5年以降」と6つの段階がある。
こうした段階ごとに後継者として学ぶべきことがある。
学ぶと一口に言っても、会社の業務に携わりながら現社長や各管理者、ベテラン社員から見聞きしての学びもあるが、自ら書籍やセミナーなどの情報に触れながら学ぶものもある。
前者が「OJT的経営力習得」とすると、後者は「OffJT的経営力習得」と言える。
OJT的経営力習得は、一言で言えば「仕事現場での学び」である。
一方のOffJT的経営力習得は、「後継者自らのプライベートの時間で知識習得を行う」ものである。
実際に承継が行われる中小企業の事業承継の現場では、このOffJT的経営力習得が薄いように感じている。
わかりやすく言えば、後継者が本や新聞を読まないし、あまり経営の勉強していない、ということである。
一口に経営と言っても、経営戦略のことから財務会計、組織論、人事制度、生産管理、販売・マーケティング、IT活用など幅広い。
こうしたことを学んでいくことは相応の時間がかかる。
それだけ会社経営を行うことには知識や情報が必要であるし、更にはそれらを自分の血肉として実践レベルまで応用し、成果を上げられるレベルにまで高める必要がある。
また、こうした会社経営の機能別の知識だけでなく、はじめに学んで頂きたいことがある。
それは、「経営者としての心構え」である。
「経営者たる者は事業に身を捧げる」
「会社で起こる全てのことは、全てが経営者の責任」
「社長の居場所は社長室ではなく、お客様の所である」
「5年後のメシの種を今からつくるのが社長の仕事」
「経営計画は社長自身がつくるものだ」
「経営計画をつくる時間を惜しむほど愚かなことはない」
などなど・・・
こうした社長としての基本的スタンスであり、心構えがブレていては、良い会社経営などできるはずがない。
そして、こうした社長の心構えは、教えてくれる人がなかなか居ない。
私がお勧めする一冊は、『一倉定の経営心得』(日本経営合理化協会)である。
胸に突き刺さる言葉とともに、気づかされることがとても多い書だ。
これからは、大手企業の管理者OBや脱サラした意欲有る人が、M&Aで中小企業の社長の席に座り、会社経営をしていく人も増えていくだろう。
そうした人達も、一人の後継者として学ぶべきことが多くあるはずだ。
そして、後継者としての学びは、学ぶほどに自分の無知に気づかされ、更なる学びと実践の必要性を痛感させてくれるのである。
・「経営リファイン承継Ⓡ」をより詳しくご覧頂くには下記をご参照下さい。
↓
https://sahara-keiei.jp/businesssuccession/succession04.php
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