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2018/02/26
社長業の魅力を後継者に伝える

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「佐原さん・・・ウチの息子、今は他社に勤務しているのですが、ウチに戻して事業を継がせようかどうか迷っているのですが・・・」

そんなご相談を社長様から受けることがあります。

「なぜ継がせることを迷っているのですか?」と社長に訊くと、次のような回答。

「いやあ・・・私の代までは、仕事も順調に有ったし、利益もそれなりに確保できてきなのですが、将来を考えると息子に継がせてこの事業のままで上手くやっていけるのか不安で・・・」

どうやら、事業の将来性に不安を抱えているご様子です。

昨今では、事業承継に関する不安のなかでも、この「事業の将来性に不安がある」という項目が高順位に上がってきます。

ただ、そうは言っても今のところの業況は順調なご様子です。

そこで私は次の質問を社長に投げかけます。

「社長は、今の社長業を退いてサラリーマンになりたいと思ったことはありましたか?」

社長:「いえいえ! 私が家業に入ってから、サラリーマンになりたいと思ったことは一回もないねえ。

     そりゃあ、仕事は大変だし、プレッシャーもあるし、土日も夜も無いような仕事だよ。

    でもねえ、自分が頑張れば頑張った分だけ報われるのが事業者の醍醐味だし、何と言っても自由だよ。

    サラリーマンは、会社に出ていれば給料をもらえる安心感はあるけれど、やっぱり自由には代えられないねえ(笑)」

実はこの質問、私はこれまでに事業を営む80人程の方々に投げかけてきた質問です。

この質問で「サラリーマンに戻っても良い。」と答えた方は、わずか1人だけでした

お聞きした方の全てが、事業が順風満帆な状況ではありません。

多くの方が、収益確保や他社競合など、様々な将来不安を感じている方ばかりです。

「事業の将来性に不安がある」ということと、「社長業の仕事は不安が多い」ということは、実は両方の境界が非常に曖昧で、同じことを言っていると言っても過言ではないのです。

なぜなら・・・

不安の無い会社経営など、この世に存在しないからです。

事業活動を行い、会社経営をしていることそのものが、不確実性や不安との戦いです。

将来、景気や事業がどのようになるかなんて、ある程度の近い将来の予測はついても、その先は誰にもわかりません。

そもそも誰にもわからない将来の変動に上手に対応していくのが会社経営です。

不安を感じずに経営している社長が居たとしたら・・・

単なる愚鈍な経営者ということです

そこで、息子さんを自社に戻すかどうかについては、まず社長業の魅力を伝えることをお勧めしています。

多くの中小企業では、社長とその奥様(経理を担当している場合が多い)の苦労話ばかりが息子に伝わり、社長業は大変なもの、という歪んだ認識を持たれているケースが多く見受けられます。

勿論、社長業は気苦労やプレッシャーも多い仕事であるのは事実ですが、それに見合った遣り甲斐や自由、醍醐味があるはずです。

そうしたことをバランス良く知ってもらうことも、親族内承継を進めるための第一歩であると考えています。

事業そのものの事業性や収益性もしっかりと検証しなければなりませんが、それは次の段階で良いと考えています。

まずは、社長業の魅力を後継候補者に伝えることが大切です。

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