第三者を交えた親子の対話
~社長と後継者とが、社外の第三者を交えて冷静かつ建設的に会社の将来を考える場~
後継者候補が30人ほど参加する事業承継セミナーの講師を佐原が務めていたときのことです。繰り返しますが、後継候補者を集めたセミナーの場です。そこで受講者の方々に念のため次のような質問を投げかけました。
「皆さんは次のいずれに該当しますでしょうか? ①承継時期が決まっている人、②時期は決まっていないが自分が承継する人、③自分が承継するかどうかわからない人。」
すると、驚くべきことに受講者の7割程が、③自分が承継するかどうかわからない、という回答をされたのです。
私も驚き、その内の何人かの方に、なぜ後継者向けセミナーに出ている皆さんであるのに、自らが承継するかどいうかが不明なのですか?という追加質問をしてみました。すると次のような回答であったのです。
「いやあ・・・多分自分が継ぐと思うのだけど、父である社長からはそのように明確に言われていないし・・・」
「自分の他に弟も家業に関わっているから、自分が継ぐのか弟が継ぐのかわからないんですよ・・・」
ここから見えたことは、いかに社長と後継者との間で承継方針についての話し合いがなされていないか、ということでした。
承継方針といっても、自社株をどうするとか、古参番頭の役割をどうしていく、とかの対策ではなく、そもそも「後継者を誰にするか。いつまでに継ぐか。」という根本的な話し合いさえなされていないのです。後継者が誰か決まっていなければ、自社株移転の方策や後継者育成などの対策は進められません。
事業承継対策のほとんどが、後継者が決まってから行えることがほとんどだからです。
では、なぜ現社長と後継者が話し合いがなされていないのでしょうか?
この辺りを佐原が複数の会社にリサーチしたところ、次のような回答が多くありました。
社長「うん。承継ね。やるよ。息子が「俺に社長をやらせてくれ。」と言ってきたときに考えるわ。」
社長「改まって息子と承継方針についての話合いなんて照れくさくてやれないよ・・・」
後継者「社長からは「お前が次の社長だ。」とか「いつ継ぐから。」とか言われていないし・・・」
後継者「社長とは冷静に話し合えないんだよね・・・経営方針の話し合いでも方向の違いからすぐに感情的な喧嘩になってしまって・・・」
これらからわかることは、社長と後継者の関係である以前に、オヤジと息子の関係なのです。なので、会社の将来事として冷静に話し合うのも照れくさいし、なにか意見の対立があると感情的な衝突になってしまって冷静かつ建設的な話し合いをする機会と場が無い、ということなのです。
こうした問題意識から、これまでに佐原が関与させて頂いた事業承継支援では、「親子の対話」を始めに行うようにしています。
ねらいは「社長と後継者とが、社外の第三者を交えて冷静かつ建設的に会社の将来を考える場」をつくることです。
実際に行ってみると、普段はお互いに喧嘩ばかりの二人でも比較的冷静に話し合いができるようです。あとは、こうした場と機会を定期的かつ継続的に持つことです。
こうした「親子の対話」の支援を、佐原が進める「経営リファイン承継」の一部としてお手伝いしています。
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