後継社長は経営方針書を示せ
社員へ示す決意と約束
承継して間もない後継社長から、このような相談を受けることがある。
後継社長:「佐原さん、当社の古い体質を改善し、社内に対して進めていきたいことがたくさんあるのですが・・・」
佐原 :「それは例えばどのようなことでしょうか?」
後継社長:「生産現場では、整理整頓などの5Sを徹底したいですし、お客様に対する社員の挨拶も明るく元気にしていきたいのです。それに、製品ごとの採算性を明らかにするために原価計算を行いながら単価引き上げ交渉もしていきたい。社員のコスト意識を持たせるために・・・。」
佐原 :「社長、それだけ問題や課題が見えているのは素晴らしいことですね。ただ、社員達の価値観や行動様式を変革していくのにご苦労はありませんか?」
後継社長:「そうなんですよ・・・ 承継して間もない私が、ベテラン社員や管理者たちのこれまでの仕事の仕方を変革していくのは、大変なことだと感じてまして・・・。」
経営者の仕事は、会社が将来に向かって進む方向性である経営戦略を描き、経営戦略を実行するために組織を動かしていかねばならない。
組織といっても、生身の人間の集団である。
これまでに社員の間に根付いた行動様式や慣行があるため、そうそう簡単に方向転換が行えるものでもない。
社長一人が旗を振っているだけで、社員は冷ややかに見ているケースも少なくない。
ましてや、先代から会社を引き継いだばかりの後継社長である。
古参番頭社員や管理者達は、「お手並み拝見」といった感じで、冷静に新社長の出方を様子見している場合も少なくない。
そこで、佐原は次のように問いかける。
佐原: 「社長は社内に対する経営方針書は作られていますか?」
後継社長:「経営方針書ですか?・・・」
経営方針書、それは社長の今年1年間に進める取り組みなどを文書にして社員一人ひとりに渡す指針書である。
そして、経営方針発表会の場で、経営方針書の内容を社員全員に伝えていくものである。
その内容は、経営理念や行動指針に始まり、今年に進める重要テーマなどを盛り込む。
こうした経営方針書を伝える意義は、どこにあると思われるだろうか?
社長の方針を社員に伝えるため?
それとも、取り組みを計画的に進めていくため?
勿論、それらも意義の一つである。
しかし、佐原は本当の意義は別のところにあると考えている。
それは、「社長が社員に示す決意であり約束」である。
社長が、経営方針書として社内に示したからには、何が何でもそれを実行し、一歩でも前に進め、達成していかなければならない。
そうでなければ、経営方針書が画に描いた餅になってしまう。
社員に示す約束であると同時に、社長が自分自身に課した約束でもある。
このような、社長の本気の姿勢が、社員の価値観や行動様式を変え、実際の行動に駆り立てていくのだ。
こうした「経営方針書の作成と徹底」は、当社の独自プログラムである「経営リファイン承継」の一内容として関与先企業様に取り組んで頂いている。
経営リファイン承継プログラム
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