オヤジ社長と息子後継者は仲が悪い?
~ 感情の縺れを極力悪化させない ~
ある中古車販売店の事業承継支援を行っていたときのことです。
これから数年かけて息子である専務に社長を引き継いでいくということでしたので、事業承継を進めるうえでの課題整理や対応策について検討会を進めていました。
その場には、社長と後継者である息子の専務が同席していたのですが、約2時間の検討会のなかで、話をするのは社長ばかりです。
隣に大人しく座っている息子専務は、ほとんど口を開きませんでした。
こちらから何か質問を投げかけても、一言二言の答えを発するだけです。
専務の様子や雰囲気からすると、緊張して話ができないとか、自分の考えを持っていないとかそういうことではなさそうでした。
目の奥には「オヤジ・・・そういうことじゃあないんだよ・・・」と言わんばかりの主張が感じられたのです。
事業承継の支援現場では、こうしてまず現社長と後継者さんに同席してもらって、会社の現状や課題、今後の目指す方向性、事業承継を進める方針などの考えを、時間をかけて丁寧に聞くようにしています。
それは、会社の内容や方針を把握するだけでなく、こうした親子関係の良し悪しやお互いの雰囲気や関係性を理解する場でもあるからです。
しかし、中小企業の事業承継の現場では、親子関係があまり良くない場合が少なくありません。
肌感覚では約7割以上の会社では現社長である父と、後継者である息子の関係性に何らかの問題を抱えていると感じています。
そうした親子不和の理由は様々ですが、そもそも世の中のオヤジと息子は仲が悪い、ということもります。
私自身も、中学高校時代から自分の親父に「あれはするな、これはしておけ。」と口うるさく言われてきましたし、「俺の好きなようにさせてくれよ。」といつも思っていました。
そうした考えがエスカレートすると「俺は絶対に親父のようにはならないぞ。」とまで自分は思っていました。(苦笑)
世間には仲の良い父息子もありますが、大多数ではこうした父と息子の関係性を引きずりつつ、息子がオヤジ社長の経営する会社に入社しているように感じています。
するとどのような事が起こっていくと思われますでしょうか?
毎日同じ会社で顔を合わせ、時には会社の経営方針や仕事の進め方などを巡って対立が日々起こっても決して不思議なことではありません。
特に会社の経営状況が危機に立たされているような場面では、経営者は重大な決断に迫られる場面があります。
例えば、コロナ禍を切り抜けるための事業転換であったり、多額の借入を起こしての設備投資であったり、事業縮小に向けた営業所の閉鎖であったり・・・
こうした重要な決断の一つ一つの曲面で、オヤジ社長と息子後継者との意見対立が起こる可能性があります。
なんといっても人が違えば意見や考えも人それぞれですから。
ですから大事なことは、オヤジ社長から息子後継者への親族内承継を進める際には、そもそも「父と息子は仲が悪い」という前提に立って承継対策を慎重に進める必要があります。
そして、もし現状でも意見対立が多かったり、意思疎通に支障をきたすような関係性であるならば、極力今以上の感情のもつれを悪化させないような冷静かつ前向きな話し合いを意識して進めることが大切です。
・「経営リファイン承継Ⓡ」をより詳しくご覧頂くには下記をご参照下さい。
↓
https://sahara-keiei.jp/businesssuccession/succession04.php
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