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亊業承継コラム「後継社長への軍略書」

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COLUMN 77

引退後の社長の席をどこにするか?

経営スタンスの象徴物

‌引退後の社長の席をどこにするか.JPG

「佐原さん、ウチの会社、半年前に社長を交代したのですが・・・

 引退した社長が、会長として前の社長室をそのまま使い続けているのですが、それで良いものでしょうか?」

このような相談を持ち掛けてくれたのは後継社長ですが、どうやら社長交代から半年ほど経ち、「社長室を空けてほしい。」とはなかなか言いづらい様子でした。

社長室とは言っても、会社の事務所の横に別室としてある6畳ほどの部屋です。

何に使っているわけでもなく、すぐに空けないと業務に支障が出るわけでもありません。

ただ社長交代して暫く経ってしまってからでは、その流れで「社長室が会長室に変わった」というだけで、惰性で進んでしまいかねません。

そしてなによりも社長室という物理的スペースは、社長が執務を行う場所であるという「威厳の象徴」でもあります。

ですから、後継社長が今の社長なのだということを示す意味においても、社長室を明け渡してもらった方が、新社長としてのリーダーシップを発揮しやすくなるというわけです。

これから社長交代に向けて準備を進めている会社において、佐原が作成のお手伝いをしている事業承継計画の中には「社長室の交代」という項目を織り込んだりしています。

一口に「社長室の交代」といっても、会長室を別に設けたり、これまでの社長室の中に、会長の机と社長の机の二つを並べて置いてみたり、場合によっては社長室そのものを取り払ってしまうケースもあります。

これは後継社長の考え方ひとつなのですが、熱心な後継社長の中には次のような考え方を示される方もいらっしゃいます。

社長の仕事場は、お客様の所と仕事現場であって、社長室ではない。

それを社長室の撤去という形で具現化している訳です。

こうした社長室の取り扱いについては、会社や後継者の考え方次第ですが、「従業員に対して後継社長としての経営スタンスを示す象徴の一つ」でもありますから、そうした視点を踏まえて検討なされるのが良いでしょう。

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