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COLUMN 76

専務の代には会社が傾く?

経営方針書の作成と周知

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「社長から専務に代が交代したら・・・ もうこの会社は傾いていってしまうかもしれないな・・・」

これは佐原が過去にバイトしていたある企業で正社員や先輩バイト達が言っていた言葉です。

「なぜそうなってしまうかもしれないんですか?」と佐原がその会話の場で問うと、あるベテランのパートさんから次のような答えが返ってきました。

だって佐原君・・・ 専務なんか社長の息子というだけの理由でこの会社に途中から入ってきて、事務所に籠りっきりで現場なんかロクに周ったりしないじゃない。

 現場仕事の事なんか知っているのか知らないのかもわからないし、私達のようなパートスタッフともほとんど話もしないし、社長になってもどんな経営をしていくのかわかったもんじゃないよ!

今になって思い出してみると、現場の業務をしていた「たかが一人のバイト」であった佐原とベテランとは言えパートスタッフが、会社の喫煙ルームでそんな井戸端会議をしていたのです。

事業承継という社長の交代については、このように現場仕事だけで日々を終えているような末端のバイトやパートスタッフでさえ話題に出していたということなのです。

そして、そうした現場仕事のスタッフでさえ、後継者の代になったらどのような会社になっていくのか、ということについて様々な憶測をし、不安になり、根拠もない社内の噂として広まっていったりすることを目の当たりにしました。

ですから、これから後継社長になる予定の方々に意識してもらいたいことは、後継者として社長になった時には、「どのような方向に経営の舵をきっていくのか」という方針を社内に明確に伝えるべきだと思うのです。

自分が勤めている会社が、どのような方向に向かって進んでいくのかということは、そこの社員であれば、誰もが心のどこかで不安に思っていることだと思います。

その方向性が見えないときには、先のような社内の不安感や不透明感として尾ひれがついた社内の噂話として広まってしまうとも限りません。

勿論、専務という社長に継ぐナンバー2の立場であるときには、明確な方向性を示す術がかなり限られてしまうことでしょう。

しかしいよいよ社長交代のタイミングとなったときには、新社長による新たな経営方針書を作製し、文書として社内に伝えていきたいものです。

勿論、口頭の挨拶でも社員の前で繰り返し伝えていく必要がありますが、口で言った言葉はその時が過ぎれば消えてしまいます。

ですから文書化して社員一人一人に手渡し持っていてもらうことと、繰り返し繰り返し、経営方針や今年の目標、重点課題、改善のための諸施策を伝えていくことが必要になるのです。

そうした後継社長が示す方向性は、その方向性そのものも勿論ですが、方向性を示しているという行いそのものが社員の安心感や一体感の醸成に繋がっていくものなのです。

後継者と新社長のための社内体制づくり

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