事業承継の「当たり前」を敢えて疑ってみる
承継対策に唯一の答えは無い
時々、世間や業界、手法の常識とは本当に正しいのか?と考えることがあります。
例えば佐原が10代の頃、運動部の基礎トレーニングではランニングをしていても、真夏でも「水を飲むな!」と厳しく言われました。
当時は運動中に水を飲むことでバテてしまうからという、今となっては根拠の無い都市伝説であったように思います。
同じように経営の手法にも、今は「当たり前」であり常識でもある手法や考え方が、ひょっとしたら正しいとは限らないこともあるような気がします。
その一つが事業承継における自社株の取り扱いです。
一般的に広く言われている手法では、事業を引き継ぐ後継者がで少なくとも3分の2以上の自社株を持つということが定番です。
その理由は、自社の株主総会の特別決議や特殊決議を一人で可決できる状態にすることで、自分の裁量で経営を行えたり、他の株主から解任されないように代表取締役としての地位を確固たるものにするためというものです。
しかし世間に広く目を向けると、少数派ではあるものの株主一族と経営者が別であり、会社の所有と経営とが分離されている中小企業も見受けられます。
しかもそうした会社では、経営者が良い意味で株主の監視やけん制の下で緊張感をもった経営を行えていて、コンサルの目から見てもしっかりと経営を回せているように見受けられます。
勿論、その株主一族や経営者の姿勢や経営スキルがしっかりとしていることも前提ではあります。
中小企業よりももっと規模が大きな大企業に目を向ければ、特に上場企業では経営者が株式を3分の2以上持っているということはまずあり得ません。
どの程度まで企業規模が小さくなれば、所有と経営の分離が有効か、という基準などもありません。
会社の銀行借入に対する個人保証の問題がありますが、これも緩和傾向にあります。
個人保証を負うことで経営者が会社経営に責任を持つことができるという考え方もありますが、それが制約条件となって後継者の候補の幅が狭まってしまうのも残念なことです。
もし、中小企業において自社株評価額が高騰していて後継者への株式の引き継ぎが難しかったり、株式を持つオーナー一族と後継経営者の家系が異なる場合、然るべきリスク対策をしたうえで所有と経営の分離を行っていくこともこれからは必要な時代がやってくるのかもしれません。
自社株式の引き継ぎを例に挙げましたが、他にも今は常識と言われる手法であっても、実はもっとより良い方法があるはずです。
そうした今の当たり前を敢えて疑い、新たな手法の実行を試していくことが、会社経営や経営手法をはじめとした改善に繋がっていくきっかけになるのだとも思います。
今の「当たり前」を敢えて疑ってみる。
このことは、経営に限らず私達の周りの全ての事柄に言える、「改善の一歩」であることは間違いなさそうです。
・「経営リファイン承継Ⓡ」をより詳しくご覧頂くには下記をご参照下さい。
↓
https://sahara-keiei.jp/businesssuccession/succession04.php
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