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亊業承継コラム「後継社長への軍略書」

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COLUMN 55

後継者の兄弟を入社させるべきか?

兄弟経営とは「諸刃の剣」

兄弟を入社させるべきか?.PNG

後継者の兄弟を入社させるべきか?

これについて悩む経営者&後継者も意外に多い。

世間でもよく言われることであるし、佐原が関わった会社においても「兄弟経営はうまくいかない。」場合が多い。

割合にすると、兄弟経営の8割以上の会社が何かしらの人間関係上の悩みを抱えている。

ただ、そうした悩みはそれぞれが表立って口にすることなく、その言葉を飲み込みながら、でも将来リスクや不安感を抱えながら経営していることが少なくない。

そうした悩みの多くは例えば次のようなものだ。

①後継者の弟が後から入社したが、言うことを聞かない。勝手な振る舞いをして困る

これは、そもそも社会人、組織人としての自覚が欠けている場合に多い。

そして、親の会社だからという甘えもある。

しかし、大の大人になって、外からそれを正そうとしても、当の本人は悪気があってしているわけではなく、自分のスタンスを貫いている意識での行動であるだけにタチが悪い。

行動の悪さ加減によっては、退社を促すことも検討する必要があるだろう。

②後継者(次期社長の予定)の兄が後から入社してきた。 

親である現社長としたらどちらを将来の社長にすべきか?

 ありがちなパターンは、兄が他の会社に勤務していたが、勤務がなんらかの理由で難しくなり、「居心地の良さそうな家業に逃げ帰ってくる」というケースだ。

 その多くは、兄自身の仕事への甘えである場合が多いように見受けられる。

そして、入社させる段階では、親である社長の「よろしくない親心」が働き、本来は入社させるべきではないのに、入社を許してしまった時点で承継計画が狂うことが多い。

そしてより悪いことに親族の人間関係にも歪が生じていくことも少なくない。

③そもそも同じ会社に勤める兄弟の仲が悪い。

 それは10年以上前からの何らかの兄弟間の個人的な確執があり、今になって埋め合わせはできない。

 これは、兄弟としての宿命を感じることも少なくない。

例えば、兄は幼少期から常に陽の当たる場所を歩き、弟は逆に日陰を歩いてきた、というような場合だ。

 兄は、学生の頃から学業成績も優秀で、運動部のキャプテン、同級生の人気もあり、親からもよく褒められてきた。

 しかし、弟は決して悪くはないものの、常に兄と比較されてきた結果、兄の日陰を歩いてきた、というイメージだ。

 だから、弟はどこか卑屈でひねくれ者のところがあり、大人になった今でも親である社長や兄の考えには常に反発している。

 その昔、同じような兄弟の構図を描いた青春野球漫画が有った。

上記のことから、できれば後継者の兄弟の後からの入社を、許容すべきではないと思う。

ただ、何事もメリットとデメリットが裏返しであるように、一定の条件を満たすことができるのであれば、「兄弟経営は大きな力を発揮する」こともある。

その条件とは1例を挙げるなら次のようなものだ。

①親である社長が、息子兄弟に「兄弟仲良く経営すること」を繰り返し伝え、そのメリットを理解させる。

 (毛利の三本の矢のエピソードと同様)

②兄弟間で経営上の役割分担を明確にしておく。

 例えば、兄はA製品部門、弟はB製品部門など。

 ただし、営業部門と製造部門など、そもそも意見調整が必要で対立が起こりやすい性質の部門もあるので、そうした部門の機能にも着目することが肝要である。

③経営判断の意見が兄弟間で別れた場合、どちらの意見で決めるかが事前に明確になっており、それを双方ともに理解のうえで決断を相手に任せられる覚悟

他にもいろいろな条件があるが、こうした「兄弟経営が上手くいく条件」が守られていれば、結束できている兄弟経営ほど強いものはない。

したがって、後継者の兄弟を入社させるか?という疑問には、経営者も後継者兄弟たちも、これらの条件や約束をしっかりと守っていける自覚や意識というものが重要になる。

そうした管理ができれば、兄弟経営は中小企業経営にとって効果的に作用していくし、そうした管理ができなければメリットよりもデメリットが際立ち、経営にも悪影響を及ぼすことになる。

つまり、兄弟経営とは「諸刃の剣」と言えるのだ。

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