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COLUMN 2

後継者が進める新事業展開 

~事業が順調なうちに、次の新事業を考える~

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事業承継のコンサルをしていると、ときどき後継者の方からこんな声を聞きます。

「佐原さん、うちの事業も今は盤石ですが、今後の5年後、10年後のことを考えると不安なんです。」

どうやら、今の事業は先代からはじめて30年ほど経つとのことでした。

業界環境も変わり、今の事業形態のままでは市場も収益も尻すぼみになってしまうというのです。

そこで、後継者である専務は、今から早めに次の新事業展開を考えていきたいというご要望なのです。

たしかに「企業寿命30年説」という考え方もあります。

正確には「事業寿命30年説」と言った方が適切かもしれません。

1つの事業の寿命は確かに30年かもしれません。それは消費者ニーズや生活スタイル、流通構造の変化などの経営環境変化に、30年も続ける事業形態では対応できなくなってくることによるものです。

そこで優秀な企業は、そうした経営環境変化に対応するために、新事業展開や経営革新を意識的に進めながら生き残りにかけた取り組みを進め、企業寿命を延ばしていくのです。

 こうした新事業展開の必要性に気づくのは、現経営者よりも後継者のほうが多いように感じます。AIIoTVRといった新しい技術革新に敏感なことが要因かもしれません。したがって、事業承継支援を後継者と共に進める私のもとにも、こうした新事業展開に対する支援要望を多く頂くようになっています。

 新事業展開を進めるにも様々な手法がありますが、大きく分けて下記の3つの方向性があります。

 ①自社で独自に新事業展開

 ②M&Aによる買取り

 ③フランチャイズへの加盟

①自社で独自に新事業展開

 これは、自社が保有する技術力や営業力などの経営ノウハウを応用して、新商品開発や業態転換に挑む手法です。自社に強い経営ノウハウがあり、自ら新事業の道を切り拓くチャレンジ意欲とリーダーシップ、覚悟が有る場合には、有効な手立てとなります。

 私のこれまで関わった事例では、柔道着メーカーによるバッグ製造販売、下請家具メーカーによる自社ブランド家具製造直販、食品加工業による自社ブランド商品開発と自社店舗直販、などがあります。

 いずれの企業も、独自ノウハウがあるのが前提であり、新事業が軌道に乗るまで辛抱強く継続できる経営者(後継者)の強い意志、不屈の精神が成功の秘訣になっています。

M&Aによる買取り

 自社で独自に新事業展開を進める場合には、事業として立ち上がるまでに相応の時間がかかります。少なくとも25年ほどはかかることを覚悟する必要があります。

 しかしM&Aであれば、新事業展開したい分野を既に手掛けている企業であって、後継者難などで譲渡希望を出している企業を買い取ることも可能となります。この場合、必要な設備や仕入先や販路、運営ノウハウを持った従業員まで、事業に必要な経営資源をそっくりそのまま引き継ぐことができます。

収益性も過去の決算実績から高い精度で算定することが可能となります。

ただし、譲渡企業に隠れ負債などの瑕疵がないかとか、M&A後に去ってしまう従業員がいないかといった買収監査をしっかり行う必要はあります。

 M&Aの買い物は会社だけでなく、時間と相乗効果と言われるのはこのためです。

③フランチャイズへの加盟

 フランチャイズチェーンには、コンビニエンスストアや飲食店だけでなく、葬儀会館からフィットネスクラブまで多種多様な業態があります。フランチャイズ本部から、経営ノウハウや店舗ブランドを利用させてもらう代わりに、ロイヤリティーを支払うことでチェーン店に加盟します。

 フランチャイズシステムの売り物は、経営ノウハウです。したがって、進出したい事業の経営経験がなくても、フランチャイズ本部の経営指導を受けながら新事業展開できることが大きなメリットです。

 留意点は、自社の所有土地や立地、人材といった経営資源を活用でき、既存事業との相乗効果を生み出せ、かつ今後の成長性が見込めるようなフランチャイズチェーンを選定することでしょう。

 他にも3つの新事業展開のメリット・デメリットなどはありますが、こうした特性を踏まえながら、後継者と共に新事業展開の方向性をコンサルしています。

 要諦は、「既存事業が上手くいっているうちに、次の展開を考える」ことです。

既存事業の収益力が低下し、年月とともに経営体力が絞られてしまった後では、新事業展開をする資金力も時間もなくなってしまいますし、新事業が順調に立ち上がらなかった場合には既存事業と共倒れになりかねませんので。

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