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COLUMN 50

自社株式を巡るトラブル

普段はその存在を意識せず、大事な節目で必要となるもの

 事業承継に際して、自社株式の移転に対する認識が薄い経営者が意外に多い

「自社株式ってそもそも何なの?」とか、

「自社株式なんて子供達の兄弟に、均等に分け与えておけばよいのでしょ。」とか、

「顧問税理士に任せてあるからよくわからないし、多分大丈夫だよ。」とか・・・

中小企業の事業承継では、自社株を後継者にどのように移転していくか、ということが課題の一つになるのだが、その理由は、自社株の保有割合によって、会社の経営権を握れるか否か、ということに関るからだ。

社長(又は後継社長)が、経営権を掌握できていなければ、様々な弊害が起こる

例えば・・・

・新事業展開に伴う定款変更や、大型設備投資に際しての多額の借入などが、

社長一人の決断でできない。

・敵対する他の役員等に、後継社長が解任され、会社を追い出されるリスク

 しかもその場合、後継社長として会社の銀行借入の個人保証を負っている場合には悲惨だ。

・問題行動のある役員や、敵対する役員を解任できないおそれ

 仲違いした兄弟経営者や共同経営者など、意外に身近な役員や株主にありがち

・関係がこじれた株主が、少数株主権などを行使して嫌がらせをしてくる。

 経営にタッチしていないのに決算書を見せろ、など。

要するに、会社の大きな取組みが、社長であるにも拘らず、自分で決めて自分で実行できない、ということが起こり得る。

また、自社株式は社長などが「個人所有」している資産であるため、相続の際に何も手を打っていないと、会社経営に関与していない相続人に分散していってしまう。

それも、20年、30年・・・と年月が経過していくと、そのまた先の相続人に分散し、会ったこともなければ顔もしらない、遠方の人に分散していく。

そうなってしまってから、株式を買い集めることは非常に多くの労力と困難が伴うのである。

自社株式は、日常の経営においてはその存在を意識することのないものであるにもかかわらず、会社経営の重要な局面や、M&Aを含む事業承継のタイミングで大きな問題が生じるおそれがある性質を持つ

したがって、多くの中小企業経営者のなかには今だに、

「自社株式ってなんなの?」とか、

「自社株式なんて、子供達の兄弟に均等に分け与えておけば良いのでしょ。」

などと、のん気な声が聞かれるのである。

もし、そんなオヤジ社長や身内の役員が居たのであれば、まずは関係者内で自社株式に対する認識を改め、今後の移転方針を真剣に検討する話し合いの場を設けてほしい。

当事者間での話し合いが難しそうな場合には、第三者を交えることで話し合いがスムーズに進む場合も多いのだ。

得体の知れないものや、何か小難しいものにフタをしてしまうのではなく、まずはちょっとした一歩を踏み出して頂きたい。

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