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COLUMN 29

事業承継 親子の揉め事

親子の対立は承継以前から始まっている

親子の揉め事.PNG

それにしても、事業承継のタイミングで親子間や親族間で揉めることが多い。

古今東西の歴史を見ても、君主や大名の跡継ぎ争いは付き物なのだろう。

現代では、経営者の交代時によく揉める。

昔のように、唯一の跡継ぎの座を奪い合って、という争いではなく、後継者が決まっているにも関わらず親子間での問題が発生する。

では、どのような場面でどのような揉め事が起こっているのだろうか。

佐原が直接に関わってきた事業承継の場面では、下記のようなケースを多く見てきた。

・現社長と後継者との経営方針の対立

・後継者に代替わりした後にもかかわらず、先代が口を出し過ぎる

・現社長が引退時の役員退職慰労金の金額とその資金調達を巡る争い

・自社株式(経営権)の移転や配分を巡る争い

・現社長の兄弟、又は後継者の兄弟間での報酬分配などを巡る争い

他にも様々な揉めるパターンがあったり、文章にまとめると上記のような表現であっても、その背景には色々な根っこがある場合がほとんどである。

「現社長と後継者との経営方針の対立」を一つ取り上げても、視点によって捉え方は様々である。

前社長の旧態依然の経営スタイルでは、遠からず立ち行かなくなることが明白であり、これを打破するために後継者が新事業展開に打って出ようとしている場合もある。

一方で、明らかに後継者の暴走とも受け取れる行動に対して、現社長が制止をかける場合もある。

某大手家具小売店の事例もそうである。

最近では、後継者が取り入れた新たな経営スタイルが、大きな損失の要因であるように報道されている。

しかし、しっかりと利益が確保できていたなら世間の評価もまた違ったものになるであろう。

歴史を紐解くと、幕末の薩摩藩の島津斉興(父)と斉彬(息子)の対立も同様であるように思われる。

そもそも、経営というものに「唯一の正解」などはなく、「答えらしき正解」を探求していくところが悩ましい。

事業承継の場面における、こうした親子の対立は、その根本的な要因が承継以前から始まっているように思えてならない。

例えば、親と子の関係が、そもそも幼少期から親が子の考えを頭から押さえつけて育ててきた結果、子は反対意見などを言いたくても言えず、鬱憤を蓄積しやすい関係性で何年もの年月を経てきたケースなどがある。

 特に親が創業社長の場合には、強い信念の下、強力なリーダーシップを発揮しながら、幾多の試練を乗り越える行動力が原動力となっている社長が多い。

そうした強力な父親の場合、息子を抑圧して育ててきたケースを少なからず目にする。

佐原が、そうした親子二人を前に会社経営の相談を受けるときには、初対面であっても二人の間に漂う「そうした雰囲気」をひしひしと感じることがある。

社長である父親ばかりが大きな声で話をし、その隣で息子は借りてきた猫のように大人しく沈黙して座っているような場面にその傾向が多く見られる。

しかし、後継者である息子の目をよく覗き込むと、

「オヤジ、そうじゃないだろう!」という声にできない声や、

「これだからウチの会社は良くならないんだよな・・・」という諦めにも似た表情が垣間見えることがある。

そんな時には、社長と後継者と佐原の3人で話をするのではなく、別の機会を設けて、後継者と二人だけで話す機会と、社長と二人だけで話をする機会を設けている。

そこで初めて二人の本音の悩みや事業承継上の課題が見えてくる場合が多い

双方の話をよく聞いた後には、社長と後継者、会社の三者にとって最も望ましいと思われる方向性を見出し、そこに向けて進めていくことが佐原に与えられたミッションとなる。

社長引退後の会社への関わり度合や退職金額にはじまり、後継者から社長への報告・相談・連絡のルール決め、重要事項の相談機会・・・など多岐に亘る項目を相互で調整していく場合が多いのである。

こうした双方の調整事項は、当事者間だけであると、感情論になってなかなか話し合いが進まない場合が多い。

しかし外部の第三者を交えることで、二人だけでの話し合いよりも、冷静かつ建設的な話し合いと調整を行えると実感している。

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