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亊業承継コラム「後継社長への軍略書」

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COLUMN 28

「目的」ではなく「手段」としての事業承継

承継はゴールではなく、新たなスタート

ダメ企業は目的、デキ企業は手段.JPG

事業承継対策と聞いて、何を思いつくだろうか?

自社株移転? M&A? 後継者育成?・・・

新聞などでも事業承継のセミナーがいたるところで数多く開催されている。

しかし、どれも事業承継そのものが「目的」になっていないだろうか?

事業承継対策を上手く進められれば、それで会社が発展していくのだろうか?

事業承継は、会社が永続的に発展するための「手段」の一つであるはずなのに。

他の事柄でも同様のことが言えるが、「目的」と捉えるか「手段」と捉えるかによって事柄の見え方が全く変わる

例えば身近な事柄では、会社で日々行われている会議。

会議を開くことが目的になってしまっていないだろうか?

事業承継対策を「目的」として捉えてしまうと、自社株評価額の引下げや移転、贈与税対策などの対処療法的な手法のみに終始しがちだ。

まずは目先の課題である経営権の安定などを図る必要があるから、勿論必要な対策であることは言うまでもない。

ただし、経営権の安定や株価対策を講じることだけで、会社は成長できるだろうか?

後継者主導により、会社経営の舵を切ることができる会社法上の最低条件は整うだろう。

しかし問題はその後である。

後継社長が、自社の組織を動かして成果を上げていくためには、後継社長の思いに社員が賛同し、方針に従って自律的かつ積極的に行動し、お客様の支持を得ていかねばならない。

会社という組織を動かすには、法律論ではなく、感情論も含めた会社経営をしていくことが重要だ

そのためには、自らの経営方針や戦略を掲げ、組織体制を整え、然るべき評価や報酬制度も再整備し、自社製品を磨き込んだうえで効果的な営業戦略を展開していく必要がある。

事業承継を会社発展のための「手段」と考えてみよう

すると、視野が変わり、すべき事柄や対策も変わってくる。

どのような「手段」なのか、その一例を下記に挙げてみよう。

(1)環境変化に経営管理を対応させるための手段

 次世代の経営者に交代すれば、経営管理も変わる。

 

30歳代中盤までの次世代後継社長からは、「有給休暇が取りやすい会社にしたい。」とか「家庭もプライベートも大事にできる会社にしたい。」という声をよく聞かされる。

40歳代後半以上の仕事中心年代から見ると、「少し甘えてやしませんか?」と思えてならない。高度成長期やバブル時代のモーレツ社員や「24時間働けますか?」のCMソングを地で行っている世代でもある。

しかし時代は変わり、人不足の時代になった。

あまりに仕事中心主義の会社体制では、若手社員の採用が難しくなっている。

一方で、今の若い世代でもバリバリ働いてしっかりと収入を得たいという層が居るのも事実である。

このような多様化した仕事観や社員の多様性への対応を会社も求められており、この辺りの風向きを次世代後継者達は敏感に察知しているのである。

(2)新事業展開の先駆けとなる後継社長

「会社寿命30年説」がある。

これは、30年も時代が進むと自社が提供する製品やサービスが陳腐化し、市場から受け入れられなくなり、製品ライフサイクルとともに会社が終わってしまうという考え方だ。

AIやロボットをはじめとする技術進歩の歩みは益々そのスピード感を増しており、会社経営も早い対応が求められる。

うかうかしていると、数年でプロダクトライフサイクルの衰退期に突入してしまうことにもなりかねない。

こうした時代変化に、感性鋭い次世代後継社長達は敏感である。

「今の自社製品のまま、ビジネスモデルのままでは、遠からず行き詰まってしまう・・・」

このような漠然とした危機意識を持っている後継者達が意外に多いものである。

そうした危機意識の芽を取り上げ、新製品開発や新事業展開といった新たな収益モデルづくりの原動力にしたいものである。

これまで述べたように、事業承継を「手段」ではなく、「目的」として捉えなおすことで、会社成長の新たな契機にできる可能性を秘めていることがわかる。

そのためには、会社の歴史を現社長や先代社長を交えた話し合いのなかで見直し、「残すべき優性資産」と「捨て去るべき劣性資産」を分別して経営をリファイン(洗練)し、経営環境の変化に対応していく必要があるのだ

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